2002年04月05日
開催期間 : 2002年4月12日(金)~5月12日(日)
(終了しました)
日本の和船製造技術は、伝統的に親方から弟子に受け継がれてきたものの、製造のためのマニュアルや図面はありません。近年、後継者難から和船製造の技術は急速に失われようとしており、新潟県佐渡地方で使用されている「たらい舟」もその例外ではありません。この企画展では、たらい舟の製造技術を後世に残すために調査活動をおこなっている米国のダグラス・ブルックス氏の活動や、地元小木町の後継者育成事業等をとりあげ、伝統技術が地元の自然条件に対応したものであることや、地元の素材の特性を生かしたものであることを紹介します。
観覧料
分類 | 料金 | 団体料金(団体は20名以上) |
---|---|---|
一般 | 400円 | 320円 |
高校・大学 | 200円 | 160円 |
小学・中学 | 100円 | 80円 |
( )内団体料金、団体は20名様以上
実演
たらい舟製作
4月12日(金)~21日(日)
企画展示室特設コーナー
製作実演者:ダグラス・ブルックスさん
(船舶複製技師・海洋史家)
※ダグラス・ブルックスさんの公開製作事業については日本財団からの助成を受けています。
ダグラス・ブルックスさんによる「たらい舟」公開製作
1、日時
4月12日(金)~4月21日(日)
9:30~16:00(12:00~13:00休憩)
2、製作場所
新潟県立歴史博物館企画展示室
3、ダグラス・ブルックスさんの紹介
米国ウィリアム大学で海洋学を、オレゴン大学とトリニティ大学で哲学、文学、宗教学等を修めました。2000年、マサチューセッツ州ピボディーエセックス博物館世界船舶展でたらい舟を製造。1997年、ヴァーモント州シェルバーン博物館で1906年建造の大型外輪蒸気船をを修復。1994年から現在まで、マサチューセッツ州ケンダル捕鯨博物館の顧問研究員。これまで多くの博物館で古船の修復・復元に携わってきました。また、最近は和船建造の技術に関心を持たれ、日本各地の海洋博物館を訪ねています。ブルックスさんは、日本の船大工がこれまで親方から受け継いできた伝統技術が、今、消えようとしている現実に直面し、少しでも多く事例を記録にとどめようと努力しています。日本の場合、親方から弟子へは体を通して技術が受け継がれ、かつ、製作マニュアルなどもなく、多くは職人たちの勘によって製作されています。ブルックスさんは、米国フリーマン財団の支援も受け和船プロジェクトを立ち上げ、消えつつある伝統技術を細部にわたり記録し、後世において復元が可能となるようにしています。
4、ダグラス・ブルックスさんと藤井孝一さん
1996年10月に来日し、三週間、最後のたらい舟職人といわれた佐渡郡羽茂町の藤井孝一さん宅にホームステイしながら、たらい舟造りの技術の記録とたらい舟造りを学びました。しかし1999年藤井さんが不慮の事故により亡くなってしまいました。妻のキヨさんから、作りかけの二艘のたらい舟を見てほしい、という手紙をもらい、驚きと悔しさでいっぱいとなり、そしてお世話になったお礼をしたいと、2000年3月に佐渡に渡り、知人宅に下宿しながら、3年前のメモを頼りに藤井さんの作りかけのたらい舟をこしらえました。
5、アメリカでの製作
2000年4月、マサチューセッツ州ピボディーエセックス博物館における世界の古船を集めた船舶展でたらい舟を公開製作し、展覧会終了後、そのたらい舟を自宅のあるヴァーモント州で進水させました。
* アメリカ人のダグラス・ブルックスさんは、最後のたらい舟職人であった藤井孝一さんの技術を受け継いだ唯一の人物といえます。このイベントでは、たらい舟造りの技術を公開していきます。皆様、ぜひ県立歴史博物館に足を運んで下さい。
問い合わせ 県立歴史博物館 0258-47-6135